レイヤ7 DHCP
■4つのアドレス・おさらい
復習
データの転送には、4つのアドレスが必須。
宛先のMACアドレスとIPアドレス。送信元のMACアドレスとIPアドレスだ。
まずは、送信元アドレス、つまり自分自身のアドレスをどうやって知るか、どうやって手に入れるかというところ。
MACアドレスはNICを取り付けた段階で分かる。
問題は、自分自身のIPアドレスをどうやって知るか。
1つは静的に決定される方法。
ネットワーク管理者が、IPアドレスはいくつですよ。
と教えてくれた値をそのまま手動でパソコンに入力する方法。
そしてもう一つは、サーバと通信を行い、自動的に設定する方法。
これを動的という。
この動的なIPアドレスの割り当て、割り当ててもらう方からすればIPアドレスの取得方法として、現在主流な方式がDHCPだ。
■DHCP/概論
DHCPは、割り当てるIPアドレスを管理し、実際に割り当てて作業を行うサーバと割り当ててもらうクライアントから成り立つ。
DHCPを行うサーバのことをDHCPサーバというが、DHCPサーバソフトを実行しているホストのこと。
一方クライアントはDHCPクライアントと呼ばれ、DHCPクライアントソフトを実行する。
前回も出てきた、インターネットプロトコル(TCP/IP)のプロパティで、自動的に取得にしておけば、DHCPクライアントソフトは自動的に実行される。
サーバとクライアントの関係を図で簡略に表すとこんな感じ。
■DHCP・承前
いくら自動的に割り当てるといっても、すべてを自動的にやってくれるわけではない。
事前に管理者が割り当てるアドレスの範囲を決めておく必要がある。
自動でこのネットワークのホストに割り振るアドレスはあれこれ、と決めてはくれない。
この範囲のアドレスをホストに割り振ってよいと決めておく必要がある。
この範囲のことをプールという。
これは範囲だけでなく、192.168.1.1~192.168.1.254を割り振りなさい、だが192.168.1.200と192.168.1.201はルータが使うので割り振ってはいけない、という設定も可能だ。
サーバは、設定されたプールの中から要求してきたクライアントに対して、それぞれがユニークになるようアドレスを割り振る。
管理者が範囲だけを決めておけば後は、自動的に割り振ってくれる。
もう1つネットワーク管理者は、事前にIPアドレスのリース制限を決定しておく必要がある。
実際はサーバが持つプールから、IPアドレスを貸し出す、という表現が一番近いかもしれない。
なぜ期限を設けるかというと、例えば、IPアドレスを割り当てたはいいが、その後ホストが移動してしまった場合はどうなる??
サーバはIPアドレスを割り当てたので、IPアドレスは使われたままと思っている。
なのでIPアドレスには、貸し出し制限を設けておく。
クライアント側は、継続して使いたければ期間延長を申し出るという形になる。
■DHCP・メッセージ
次はDHCPがどのように動作するかという部分。
つまり、カプセル化される前のデータと事。
※サーバとクライアントがやり取りするデータそのもの。
ポイントは赤色で表示されている部分。
再割り当てしてもらう場合は、すでに割り当てられているアドレスをサーバに伝える。
そしてもちろん、割り当てアドレスがメッセージの中に入っているこ。
そして、オプション。
このオプションこそが、DHCPが主流になった理由だ。
実を言うと、オプションを抜いた部分は、DHCPの前身であるBOOTPと対して変わらない。
では、DHCPとBOOTP最大の違いは、オプションIPアドレス以外の情報を付けて送ることができるという点。
※BOOTPはIPアドレスしか送らない
DHCPはその他のネットワークの設定情報を送ることができる。
なので、動的ホスト設定プロトコルと呼ばれる。
■DHCP・割り当て動作
DHCPの動作はもう少し細かく、いくつかの種類のメッセージをやり取りする。
メッセージタイプは以下の6つ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%257eaji/3min/25.html
最初は自分のアドレスが分からないので、0.0.0.0を使う。
さらに、DHCPのメッセージポイントは、ブロードキャスト送信を使うという点。
クライアントは誰にメッセージを送ったらいいか分からないから。
また、サーバの方もクライアントはIPアドレスがないので、必ず受け取ってもらうためにブロードキャストを使う。
<今日のポイント>
・IPアドレスを自動的に割り振る方法がDHCP
・各クライアントはDHCPサーバが持つアドレスプールから、IPアドレスを割り振ってもらう
・IPアドレスを割り振る際、リース期間を設ける
・DHCPはIPアドレスを割り振るだけでなく、詳細な設定も同時に送信することができる
・DHCPの動作は、以下のように行われる
└クライアントがサーバを見つける(DISCOVER)
└サーバは候補のアドレスを送る(OFFER)
└クライアントは正式な要求を送る(REQUEST)
└サーバがそれを認める(ACT)
・DHCPのメッセージのやり取りはブロードキャストを使用する
・リース期間前にも返却や再取得要求が行える