レイヤ2:イーサネット拡張
イーサネットのおさらい。
イーサネットは、繋がっているすべてのノードへフレームを送りつけるブロードキャスト型で、CSMA/CDでアクセス制御している。
イーサネットの衝突の仕組み
⇒基本的に誰かが送信している間は、他の人は送信できない。
でも誰も使ってないなーと思って使い始めたときに、まだそのフレームが届いていないが誰も使っていないと思って送信を始めてしまう。
この場合、1本の銅線しかない同軸ケーブル上に2つの信号が交差するため衝突が発生する。
■半二重・全二重
イーサネットでは正常な通信時には、「自分は通信しか行っていない」。
受信できることはできるが、受信した場合はそれは、衝突が発生した場合。
更に、他の人が送信中である場合は、もちろん自分は受信のみ、送信は行えない。
※キャリア検知(CS)のため
つまり送信のみか、受信のみかどちらか一方しか各ノードは行えない。
イーサネットは半二重通信方式であるということ。
トランシーバーでの通信とよく似ている。
自分が話しているときは、相手の声が聞こえない。
相手が話しているときは、相手に自分の声が伝わらない。
同軸ケーブルを使用するイーサネットでは仕方がないが、効率が悪い。
ちなみにツイストペアケーブルや光ファイバであれば、効率よく通信を行うことが可能。
上の図のように、実はツイストペアケーブルの8本4組のうち、2本1組はこちらの送信側と相手の受信側。
別の2本1組はこちらの受信側と相手の送信側に接続される。
<残りの4本2組は?>
使われていない。将来的な発達余裕のようなもの。
この状態だと、相手の送信と自分の送信は同じ道を通らない。
つまり、ツイストペアならば衝突は発生しない。
このような、同時に送信・受信が可能な方式を全二重通信という。
リピータ・ハブを使った場合は、下記のようになる。
リピータのポートまでは送信・受信別々の組で接続されているのだが、リピータの内部は送信・受信で分かれていない。
そうなると...
結局は、リピータの内部で衝突が発生する。
※もちろんこれはハブでも同様
※リピータ:弱まったりノイズが入った信号を、増幅や整形してもとの信号と同じ強さ、同じ形にする
※ハブ:別名マルチポートリピータともいう。LANの中心点。メディアの接続地点として使われる。
スイッチなら内部で衝突がおきない仕組みをもっているので、全二重通信が可能になる。
■Fast Ethernet/Gigabit Ethernet
イーサネットは同軸ケーブル(10Mbps)を使用する。
理由としては、開発された段階で、同軸ケーブルが主流だったからそれが規格となった。
技術の進歩とともに、それに応じてIEEEも規格を拡張している。
まず、IEEE802.3に、ツイストペアや光ファイバを使用可能にした。
そうこうしているうちに、スピードの問題が発生した。
100Mbpsのケーブルの登場。
今でも使われている、10BASE-TX、カテゴリー5や光ファイバの100BASE-FX。
そこで、IEEEはIEEE802.3の拡張仕様を作成した。
ファストイーサネット。規格名で言えば、IEEE802.3u。
これの素晴らしいところは、下位互換であるところ。
つまり、今までのイーサネットの機器と併用して使えるということ。
イーサネットと同じフレーム形式、CSMA/CDを使用する。(※スピードは変わったけど、イーサネットは変わっていない)
例えば、ファストイーサネット仕様のNIC。でもケーブルは10BASE-T。
ケーブルは100BASE-TXだけど、ハブはイーサネット仕様。こういう形式の混在でも問題ない。
※もちろん100Mbosとしては使えない。
ファストイーサネットとイーサネットとの違い。
⇒同軸ケーブルが規格から外れたこと、それに応じてバス型物理トポロジが使えなくなり、スター型のみになったこと。
▼ギガビットイーサネット
1000Mbpsなので、イーサネットの100倍。
これは2つの規格がある。
光ファイバを使う、IEEE802.3z.
ツイストペアを使う、IEEE802.3abの2つ。
<今日のポイント>
・イーサネットは半二重型方式である
・スイッチを利用すると、全二重通信が可能となる
・100Mbpsのファストイーサネット、1000MbpsのギガビットイーサネットもIEEEで標準化されている
・ファスト、ギガビット両方とも、イーサネットと下位互換性がある。