リピータやハブは信号を増幅させるが、衝突ドメインの原因にもなる
■レイヤ1のネットワーキングデバイス
<ハブ>
別名マルチポートリピータという。
多くのケーブルを差し込むことができるリピータのこと。
通常リピータは入口と出口、2本のケーブルを繋ぐことしかできない。
製品にもよるが4本、8本、16本と多数のケーブルを繋ぐことができる。
なので、多くの機器を繋ぐときに使用される。
LANではもっとも一般的な機器である。
逆にハブがないと、1対1の接続しかできないといっても過言ではない。
ハブはLANの中心点。
メディアの接続地点として使われる。
もちろんマルチポートリピータという別名に恥じず、リピータとしての役割も持つ。
つまり、信号の増幅や整形も行う。
遠くまで信号を届けることもできる。
■共有メディアの環境
さらに、ハブを使用した場合、多くの機器が接続されるわけだが。
どれか1つの機器から出た信号は、すべての機器に届く。
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リピータは増幅するだけなので、なんの制御も行わない。
ハブも同様に多くのメディアに接続するが、やることは同じ単なる増幅のみだ。
つまりきた信号を全部そのまま流す。
「制御を行う」とどう違うか??
スイッチやルータはきたデータを繋がっている全部に流すわけではない。
ハブはきた信号をそのまま繋がっているパソコンに流してしまう。
この場合、上の図で青のメディアAと緑のメディアBの違いは何か?
繋がっているパソコンが違う?
確かに繋がっているパソコンは違う。
しかし、通過する信号という観点から見た場合、全く違いはない。
つまり、ハブを中継点として使っているのだが、すべての機器は同じメディアを使用しているのと同じ。
このように、同じメディアを複数の機器が使用している環境を共有メディアという。
■衝突ドメイン
上記のような環境では、信号の衝突が発生する可能性がある。
特に、同軸ケーブルのように伝送路が1つの場合は、車線しかないようなもの。
ツイストペアなら大丈夫??
確かにツイストペアならば、8本4組なので伝送路を複数持つ。
だがハブの内部が1つの伝送路しか持たないので結局同じ。
衝突が起きた場合、信号の形が崩れて正しいデータとして認識されなくなる。
この正しくない信号は、ネットワークにとって邪魔者でしかない。
データとして正しくなくても、流れている間は道をふさいでしまう。
この衝突が発生する可能性がある範囲のことを「衝突ドメイン」という。
※ドメイン⇒このでの意味は「範囲」という意味
ハブは、信号を流すだけなのでこの衝突ドメインを狭くすることはできない。
逆に、衝突ドメインを広げてしまう。
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<衝突ドメインを狭くするにはどうしたらいいの?>
スイッチやルータを使う必要がある。
特に衝突ドメインが大きくなると、たくさんの機器が接続されるようになる。
すると衝突の可能性も大きくなる。
衝突で壊れたデータでもデータ。
伝送路を流れてしまう。
よって、ネットワークの利用率が下がる。
衝突ドメインを狭くしなければならない理由はこのため。
■リピータ・ハブ同士の接続制限
リピータやハブは信号を増幅するから、届く距離が長くなる。
では、リピータやハブを連続しておけば無限に信号を届けることができるのか?
答えはイエス。
しかし、リピータで増幅の際に多少の時間がかかる。
あまりに多くのリピータを使うと、その遅延時間が多くなりすぎる。
そうなると、こっちの機器と向こうの機器で、受け取る時間に差ができることになる。
もしかすると、その時間差の間に他の機器が送信を行って衝突が発生するかもしれない。
なので、一応ルールとして、途中経由していいリピータ(ハブ)は10BASE-Tなら4つ、100BASE-Tなら2つとされている。
<ポイント>
・リピータ・ハブは減衰やノイズの入った信号を増幅・整形する
・ハブは多くのメディアの接合点として使われる
・リピータ・ハブは制御を全く行わないため、きた信号をすべてに流す共有メディア環境を作り出す
・衝突の影響が及ぶ範囲のことを衝突ドメインといい、リピータ・ハブは衝突ドメインを広げる
・リピータ・ハブを連続して繋げていいのは、4つもしくは2つまで